街を撮る、ビルを撮る
私は専ら、街の写真を撮っていた。
生まれと育ちが、東京の中でも「都会」と呼ばれるような地域だったからか、
ビルが好きだ。
いわゆる「長閑な風景」よりも、殺風景、と言われるところの方が好き。
殺風景が好きな理由を考えると、「そこに感情がないから」だと思う。
「長閑な風景」に存在するヒトや動物や、何とはなしに受け取ってしまう感情があると、
途端に苦しくなるのだ。
一方、殺風景なビルは、そこに感情が存在しない。
いや、そこにヒトがいる限り、存在しないわけはない。
けれど、殺風景なビルのお陰で、それらの感情をシャットすることができる気がするのだ。
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